昨年２月２６日、川崎工場新館20階ではフロンティアーズ納会が行われていた。 この席で主将#47は、チームスローガンを「臥薪嘗胆」と発表。

やや光量を落とした照明下、主将#47の表情には鬼気迫るものがあった。蓄えた口ひげのせいだけではなかった。 直前の強化運動部担当役員の挨拶は「環境厳しいおり、昨年のような成績では覚悟してもらわないと....。」そんな主旨の挨拶だった。

何を覚悟しなければいけないか、定かではなかった。しかし最悪のシナリオ「廃部」をイメージしたメンバーも多かった。そのメッセージを受けての主将の挨拶だった。 叱咤激励をうけ、臥薪嘗胆を掲げたフロンティアーズはチーム一丸となって昨シーズンには地区全勝優勝を奪い取った。

だが、全勝と引替えにチームが差し出した代償はあまりに深く広範にわたった。多くの選手が傷つき戦列を離れた。オンワードオークスとの一戦は特に激戦だった。

この試合でドーム人工芝のやけに鮮やかな緑の上にホワイトのフロンティアーズユニホームに#47をつけ倒れる主将の姿があった。右ひじをつき、何度も自力で立ち上がり、戦いにもどろうとしたが叶わなかった。左膝じん帯断裂の重傷、2000年10月4日、東京ドームのことだった。

応援席に歓びがあふれる勝利の時も、また悔しく、涙する敗戦の時も主将は毎試合必ず、冷静にメッセージをおくる。オンワード戦の試合後#47は両手に松葉杖をつき、フロンティアーズの分厚い真っ赤な防寒着姿で勝利の報告を行った。

三塁側応援席のフロンティアーズファンに、満面の笑みを忘れなかった。負傷の痛みは決して見せなかった。この試合以降、主将#47がフイールドで活躍する姿は消えた。だが、試合終了後の主将挨拶は続けた。

黒のトレーナにNIKEのTシャツの重ね着、上着にグレーのベスト姿など、オンスーツではなかった。 主将#47がオンスーツでファンの前にあらわれたのは最終戦となった今春の横浜スタジアム。

パールボウル鹿島戦。ファイナル進出をかけての一戦だった。ハーフタイム、スコアボードを膝をつき睨む＃47の姿が、ベンチ前にあった。試合終了後、にファイナル進出を果たせなかった無念さとファンへの応援のお礼の挨拶をした。

あのオンワード戦の負傷から復帰した今シーズンの#47の活躍は嬉しい。この試合、クラブダイノス戦では第四クオータには見事なタッチダウンを奪う。

また、チームメイトにたえず声をかけ、ねぎらう主将#47の姿があった。 あの東京ドームオンワード戦から１年１０日、「あの時は、あせりましたよっ！」と明るく振り返った主将　嶋　平　（#47 TE)は西武ドームで完全復活。

クラブダイノス@BANK戦勝利から２日後の16日、チーム練習後に、「入籍届け」を決めた。 おめでとう嶋主将！。

（たかばきんぞう 15th oct '01）